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貞操義務とは | 不倫慰謝料の請求で確認すべき7ポイント

公開日:2020.12.03  最終更新日:2022.09.01

この記事の目次

「貞操(ていそう)義務」とは何でしょうか。夫婦の問題について多くの相談を手がけてきた福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。

貞操義務(ていそうぎむ)とは?

夫婦は互いに、不貞(不倫、浮気ともいいます)をしてはならない義務を負っています。

法律論では「夫婦相互間の守操(しゅそう)義務あるいは貞操(ていそう)義務」といいます。夫婦間の基本的な義務を定めた規定である民法752条をみてみましょう。

民法752条(同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない

上記のように、民法では①同居②協力③扶助を記しているのみで、夫婦が互いに守操義務(貞操義務)を負っているのかは判然としません。

では、なぜ不貞(不倫)が認められないのでしょうか。

民法770条1項1号をみてみましょう。

民法770条(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1 配偶者に不貞な行為があったとき

上記のように、「不貞な行為」が離婚の理由となっています。

夫婦が不貞をしてはならない義務を負うのは明らかで、民法752条における「義務」の一つとして、守操義務(貞操義務)が導かれると解釈されています。

不貞慰謝料とは:貞操義務違反の代償

不貞慰謝料とは、婚姻関係にある人の不貞行為によって、その人の配偶者が受けた精神的苦痛を金銭に換算することです。

不貞は「配偶者以外の者との性交渉」を意味します。

前述のように、夫婦は相互に貞操義務を負うと考えられています。「不貞」は、この貞操義務に反する行為を意味します。

不貞をされたもう一方の配偶者は、精神的苦痛を被ったとして、不法行為(民法709条)に基づき損害賠償を請求することができます。

不貞慰謝料は誰が払う?

不貞をした一方の配偶者と不貞相手は、二人の性交渉によって他方の配偶者に精神的苦痛を与えたことになります。

このような行為を法律上、共同不法行為(民法719条)といいます。

不貞をした配偶者と不貞相手のいずれに対しても、損害賠償を請求できます。どちらかのみを相手取ることも、両者共を相手取ることも可能です。

不貞慰謝料を請求したい!何が必要?

不貞慰謝料を請求するためには、不貞の事実を証明する必要があります。まずは不貞の証拠を集めなくてはなりません。

不貞の証拠には、たとえば、不貞相手と性交渉があったことをうかがわせる内容のLINEのやりとりや、ラブホテルや不貞相手の自宅に出入りしている写真、本人が性交渉を認めている会話の録音データなどが挙げられます。

どのような証拠があればよいのか、持っているデータが証拠としてどの程度有効なのかを知るためには、弁護士にご相談いただくのがよいでしょう。

「不倫の証拠とは」コラムはこちら

不貞慰謝料の相場は50万~300万円

不貞慰謝料の金額は、どれくらいが相場でしょうか。

性交渉の回数や期間、婚姻関係の破壊の程度などにより一概には言えませんが、離婚裁判の判決で決まる額は50万円から300万円の範囲で定まることが多いです。

ただし、相手の支払い能力や態度、交渉なのか裁判なのかによって、相場から外れた金額で合意(和解)することもあります。

「貞操義務」がない場合は不貞慰謝料の対象外

不貞慰謝料の請求が難しいのは、結婚しておらず単純に交際をしているケースです。この場合、相手に貞操義務があるとまではいえず、請求の根拠があるとは認められないでしょう。

もっとも、婚約や内縁関係であれば、慰謝料の請求は可能です。ただし、前提として婚約や内縁の事実の証明が必要になります。

不倫慰謝料の請求:確認すべき7ポイント

「不貞慰謝料を請求したい」と思ったら、確認したいポイントは下記の7点です。

  1. そもそも不貞行為といえる事実があるか
  2. 不貞行為の証拠は十分か
  3. 証拠が不十分として、どのような証拠収集が可能か
  4. 慰謝料請求のため、どのような交渉をしたらよいか
  5. 当該事案での慰謝料額として妥当か
  6. どのようにして支払ってもらうか
  7. 支払いをどのようにして確実なものにするか

「02 不貞行為の証拠」について、詳しくはこちら

このほかにも課題はあり、一つずつ慎重に対応する必要があります。

不貞、離婚のお悩みは桑原法律事務所へ

桑原法律事務所は創業25年目の総合法律事務所です。福岡・佐賀を拠点に、九州北部に3つのオフィスを展開しています。

離婚や不貞行為をめぐってお悩みの方は、当事務所にご相談ください。依頼者様の思いに寄り添いながら、できるだけ早く新しい人生に踏み出していただける道を探し、提案させていただきます。

ご依頼時には、弁護士と事務スタッフによる2名以上のチームで対応いたしますので「弁護士は敷居が高い…」といった心配はございません。まずはお気軽にお問い合わせください。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。

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