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不貞慰謝料の相場は数十万~300万円|慰謝料請求の注意点とは

公開日:2017.09.25  最終更新日:2022.10.17

この記事の目次

不貞(不倫)の慰謝料の相場はどれくらいで、どのようなケースだと認められるのでしょうか。福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。

芸能人の不倫が発覚した際、「ホテルに入ったけれど何もなかった」と主張するケースがありますが、裁判ではなかなか通用しないでしょう。ホテルの同じ部屋で男女が一晩過ごした以上、何らかの肉体関係があったことが推認されるためです。

「酔ってすぐに寝てしまった」とか「ずっと相談に乗っていただけ」と言っても、通常は信用してもらえません。「シロ」である諸事情を立証できない限り、不倫(肉体関係)があったと認定されるでしょう。

不貞(不倫)行為があると、「婚姻共同生活の平和の維持」という権利が侵害されます。慰謝料を請求された場合、権利侵害による損害として慰謝料を支払わないといけなくなります。

不貞慰謝料が低い4つの理由:婚姻・不倫の状況次第

不貞行為の慰謝料の相場は、いくらぐらいでしょうか。

300万円や500万円などと言われることもありますが、裁判における慰謝料の相場は意外と低く、数十万から高くても300万円程度が上限となっているようです。300万円を超えるような慰謝料は稀です。

慰謝料が数十万円にとどまるであろう事案は、下記のような場合などです。

  • そもそも夫婦の婚姻期間が短い
  • 不貞が1回限り、または回数が少ない
  • 立証された不貞行為があったタイミングで、すでに夫婦仲が悪かった
  • 不貞はあったが離婚せず、一応円満に生活を続けている

事例1:相手が既婚者と知らなかった…慰謝料は払わないといけない?

Q. 交際中の相手が既婚者でした。相手が結婚していた事実を知らなくても、慰謝料を支払わなければなりませんか?

A. 慰謝料請求の根拠は、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求です。

(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、
これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

上記の条文によると、法的な慰謝料の支払い義務を負うのは「故意又は過失によって」相手方の権利を侵害をした場合に限られます。
このケースで「故意」とは、「相手が既婚者であると知っていた」状況です。

本当に、「相手が既婚と知らなかった」ならば「故意」がない、ということになるでしょう。

ただし、「相手が既婚と知らなかった」ことが「過失」と認められると、慰謝料の支払い義務があります。「過失がある」と判断される可能性があるのは、「既婚者かもしれない」と思っていた場合や、「既婚である」と予測できるにもかかわらず、漫然と交際を続けた場合などです。

既婚を予測できたかどうかは、当事者の地位や年齢、具体的な発言や行動などから総合的に判断されます。
上記のように、故意か過失かなどにより、慰謝料の支払いの義務があるかどうか異なります。裁判では「既婚とは知らなかった」ことの立証に尽力する必要がありますので、弁護士に早めに依頼するのがよいでしょう。

事例2:離婚後に元夫の不貞が発覚 | 慰謝料請求で注意すべき4ポイントとは

Q. 性格の不一致が原因で離婚しましたが、離婚後に夫の不貞が分かりました。慰謝料の請求はできますか?

A. 離婚後に発覚した場合でも、慰謝料請求をすることはできますが、請求が認められるためには気を付けたいポイントがあります。

1. 不貞が夫婦関係の破綻の原因となったか

不貞が夫婦関係の破綻の原因となったといえるか否かによっても、慰謝料の金額が変わります。

性格の不一致が原因で離婚した場合、不貞の事実を知らなくても離婚していることから、不貞が夫婦関係の破綻の直接の原因となったとはいえず、慰謝料が低くなる要因となったり、そもそも慰謝料が認められなくなる可能性があります。

2. 不貞の証拠があるか

不貞の証拠がなければ、慰謝料請求の主張は通りにくいでしょう。そのため、配偶者の不貞が発覚したら、不貞の証拠を集めておくことをおすすめします。

3.「慰謝料請求をしない」と合意していないか

離婚の際に、離婚協議書等で「慰謝料請求をしない」と合意していた場合、慰謝料請求が認められにくくなります。

もっとも「合意時は不貞の事実を知らなかったので、慰謝料請求をしないという合意に効力はない」と争うことで、慰謝料請求が認められる可能性はあります。

4. 時効になっていないか

慰謝料請求の時効は、不貞の事実を知ってから3年です。時効になる前に、慰謝料請求は早めに行いましょう。

事例③:キスや入浴でも不貞?慰謝料請求される?

Q. 肉体関係がない場合でも、不貞慰謝料を支払わなければなりませんか?

A. 肉体関係を持つこと(性交渉)が不貞行為にあたることには異論ありません。しかし、性交渉以外の行為も不貞行為に含まれるかは、学説上も対立があり、判例の立場も明確ではありません。

とはいえ、不貞行為だけが、慰謝料が発生する原因ではありません。不貞行為とは言えないとしても、「婚姻共同生活の平和の維持」という権利が侵害される場合には、慰謝料が発生することがあります。

たとえば、相手とキスしたり、性交渉と類似の行為をしたり、一緒に入浴したりといった行為も、「婚姻共同生活の平和の維持」という権利を侵害する行為とされ、慰謝料を支払わなければならない可能性があります。
もっとも、肉体関係がある場合と比べると、概して慰謝料の額は低いでしょう。

不貞慰謝料のお悩みは桑原法律事務所へ

桑原法律事務所は、創業25年目の総合法律事務所です。福岡・佐賀に3拠点のオフィスを構えています。

不貞慰謝料についてお悩みの方は、当事務所にご相談ください。依頼者様の思いに寄り添いながら、できるだけ早く新しい人生に踏み出していただける道を探し、提案いたします。

ご依頼時には、弁護士と事務スタッフの2名以上のチームで対応いたしますので、「弁護士は敷居が高い…」といった心配はございません。まずはお気軽にお問い合わせください。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。

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