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不貞(不倫)

不貞(不倫)の証拠とは|写真、映像…どれが有効?|証拠集めのリスクとは

公開日:2018.02.25  最終更新日:2024.03.11

この記事の目次

不貞(不倫)は、円満な夫婦生活を壊す違法な行為です。不貞をした双方の当事者は、被害者である配偶者(夫/妻)に対して損害賠償責任を負うとされています。

不貞の被害者は「不貞をやめさせたい」「不貞の慰謝料を請求したい」と考えるでしょう。そのためには、不貞の証拠が必要です。
不貞の証拠について、福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。

不貞の証拠、有効なものは?

Q. 夫(妻)の不貞相手に慰謝料を請求する場合、どのような証拠が有効ですか?

A. 配偶者と不貞相手に肉体関係があったことを立証する必要があります。しかし、多くは密室で行われるため、本人たちの自白以外には、直接の証拠をつかむのは難しいでしょう。

たとえば、以下のような証拠は有効と考えられています。

  • 一緒にラブホテルに出入りする場面を映した写真・映像
  • 一緒に泊まりがけで旅行に出かけた写真
  • LINEのやりとり(明らかに不貞があったことを匂わせる文言など)

上記のような証拠をつかむために、当事者の方は、以下のような様々な方法を試みています(※ただ後述のように犯罪行為や違法行為に該当する可能性があります)

  • 直接尾行して不貞現場を突き止める
  • 配偶者の身の回り品に衛星利用測位システム(GPS)機器などを設置して、行動を調べる
  • 配偶者のスマートフォンやパソコンを盗み見て、行動や第三者との連絡状況をチェックする

ただし、不貞調査の手段が行き過ぎると、不貞疑惑をもたれた相手方からすればプライバシーの侵害と判断される可能性もありますので、注意しましょう。

行為が執拗な場合は、ストーカー規制法違反となるおそれもあります。また、位置情報アプリの無断インストールは、1回だけの行為でも不正指令電磁的記録供用罪(刑法168条の2第2項)が成立しえます。

不貞調査が違法かどうかは、下記の点などを考慮して判断されます。

  • そもそも実際に不貞をしていたかどうか
  • 調査の結果、不貞が立証できたか
  • 不貞を疑い始める合理的な理由があったか
  • 不貞調査の方法・手段として、相手方のプライバシーを侵害する度合いの大きさ

まさにケースバイケースです。
行き過ぎは違法行為・犯罪となりかねません。また、どこまでの証拠があれば不貞を立証できるかを理解しておくことも重要ですので、事前に弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

不貞調査の探偵費用を相手に請求できる?

不貞(不倫)の証拠集めは、自身で行う方もいれば、友人や興信所に頼む方もいます。興信所や探偵に支払った調査費用は、不貞をした当事者に請求できるのでしょうか

たとえば相談の際に、ラブホテルに出入りする写真などが載った「探偵の調査報告書」をお持ちいただく方もいらっしゃいます。お話を聞いてみると、調査費用として50万円、高額な場合では200万円近くかかるケースもあるようです。

高額な調査費用を支払わざるを得なくなったのですから、不貞を行った配偶者や不貞相手に、その分の費用も支払って欲しいと考えるのは当然でしょう。

この場合、交渉での解決であれば、調査費用の負担を求めることも可能でしょう。しかし裁判となると、全く認容されないか、認容されても「慰謝料の額の1割程度」とする事例が多いのです。

また、「調査費用」として認めるというより、慰謝料を増額する「一つの事情」として、事実上、考慮されている場合もあります。

ただし、調査費用の全額を認めない明確な理由は、必ずしもありません。状況によっては、全額を認める判断があってもよいのではないかと思われます。当事務所では、調査費用も含めた賠償額の認定に向けても活動しています。

不貞慰謝料を高くする方法とは

損害保険が発達し、多くの弁護士が取り組んできた交通事故の分野では、損害賠償の請求例も非常に多く、損害そのものも類型化されています。治療費や付添費などのほか、病院までの交通費、事故状況の立証資料の費用や弁護士費用まで、どの弁護士も請求しています。

それでは、不貞という違法行為による損害賠償の請求についてはどうでしょうか。

弁護士の多くは先例にならい、慰謝料しか請求しません。弁護士費用は、主張するだけで一部が認定される可能性があるため、請求する弁護士は近ごろ増えました。

不貞の慰謝料として裁判所が認めるのは、数十万円〜300万円程度です。当事務所でも、相談者様に慰謝料の相場感を伝えると、思いのほか安いと落胆されることも多いです。

慰謝料を高くするための立証といっても、限界があります。そこでどうするかというと、「他の損害費目」を探ることになります。

探偵代や引っ越し代も「不倫の損害」?

  • 配偶者の不貞を確かめようと、友人に配偶者の車を尾行してもらった際のガソリン代は、不貞という違法行為と因果関係のある損害ではないか?
  • 探偵の調査費用も同様に、不貞に基づく損害といえるのではないか?
  • さらには不貞が原因で離婚、引っ越しに追い込まれた場合の引っ越し費用、その際に購入せざるを得なくなった家具や電化製品なども、不貞に基づく損害といえるのではないか?

このような主張をする弁護士は少なく、上記のような損害を認容した裁判例もほとんど見当たりません。そのため、「先例がない」としてあきらめてしまう弁護士もいるかもしれません。

世間的には、不貞の証拠をつかむために尾行する、探偵を雇う、離婚後には引っ越して家具を購入する、といったケースはよくあります。損害賠償論(民法416条)の解釈としては、上記のような損害は相当因果関係のある損害となるはずです。

私たち弁護士には、世間の常識に沿った先例を裁判所に認めさせ、裁判所でも常識になるような活動が求められています。

不貞(不倫)慰謝料のお悩みは桑原法律事務所へ

桑原法律事務所は、創業25年目の総合法律事務所です。福岡・佐賀に3拠点のオフィスを構えています。

「不貞の慰謝料を請求したいけれど、どうしたらよいのかわからない」とお悩みの方は、当事務所にご相談ください。依頼者様の思いに寄り添いながら、今後の方針などについて提案させていただきます。

ご依頼時には、弁護士と事務スタッフによる2名以上のチームで対応いたしますので、「弁護士は敷居が高い…」といった心配はございません。まずはお気軽にお問い合わせください。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。

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