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有責配偶者とは | 不倫した側から離婚請求できる?

公開日:2019.05.13  最終更新日:2022.08.02

この記事の目次

有責配偶者(ゆうせきはいぐうしゃ)とは、不倫(不貞)など離婚の原因をつくった配偶者を意味します。
有責配偶者の側から、離婚の請求はできるのでしょうか。収入のない有責配偶者は、相手方に生活費の請求ができるのでしょうか。夫婦の問題について累計1300件以上のご相談をお受けしてきた福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。

険悪な雰囲気の夫婦の写真

有責配偶者とは:離婚原因をつくった側

離婚の原因は、以下のとおり、民法770条1項で定められています。

  1. 不貞行為(民法770条1項1号)
    配偶者以外の者と性的関係を結ぶ行為です
  2. 悪意の遺棄(民法770条1項2号)
    正当な理由がないのに同居・協力・扶助の義務を履行せず、夫婦生活を続ける意思の認められない場合です
  3. 3年以上の生死不明(民法770条1項3号)
    生死不明とは、「生存も死亡も証明できない状態が継続し、現在に及んでいる」状態です
  4. 不治の精神病(民法770条1項4号)
    配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合です
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)
    肉体的・精神的調和や経済状態などの事情から、円満な夫婦生活の継続や回復が期待できない場合をいいます。具体的には暴行虐待、重大な疾病ないし身体的欠陥、性的不能などがあります。このうちでも特に第1号の不貞行為があった場合に、有責配偶者とされるケースが多いようです。

離婚問題に悩む男性

有責配偶者から離婚請求できる要件とは

有責配偶者とは、「婚姻の破たん状態を招いたことにつき、専ら又は主たる責任を負うべき配偶者」です。

そして、有責配偶者の側が破たんを理由として離婚の訴えを起こしても、原則として離婚は認められません。
有責側からの離婚請求を認めてしまえば、多くの場合、相手側は踏んだり蹴ったりで、責任のない配偶者の保護が図られないことになるからです。

有責配偶者からの離婚請求が認められるケース

ただし、有責配偶者からの離婚請求が認められる事例もあります。

最高裁は、以下の要件を満たした場合に限り、有責配偶者からの離婚請求を認めています。

  1. 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において、相当の長期間に及んでいること
  2. その間に未成熟の子が存在しないこと
  3. 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれるなど離婚請求を認容することが著しく社会正義に反すると認められない場合であること
    (最判昭和62年9月2日)

2については、未成熟の子がいても、1や3など事情を考慮して離婚請求を認めるとの判例もあります(最判平成6年2月8日)。

とはいえ、相手が有責配偶者か、逆に自分が有責配偶者なのかは判断が難しい場合もあるでしょう。お悩みの方は、専門家である弁護士へのご相談をおすすめいたします。

不倫した妻(有責配偶者)から生活費の請求が…減額できる?

配偶者が不貞などのいわゆる有責行為を行い、一方的に出て行った場合も、もう一方は生活費(婚姻費用)を負担しなければならないのでしょうか。以下の事例をみてみましょう。

夫は会社員で、妻は専業主婦です。
結婚5年後、妻の不倫が発覚しました。夫が妻を問い詰めると、妻は「あなたに魅力がないから」と開き直り、さらには一方的に自宅を出て行ってしまいました。
妻は数日後、夫に対し、生活費を支払うよう求めてきました。夫は生活費を支払う必要があるのでしょうか。

有責配偶者からの婚姻費用分担請求が認められないケースも

不貞をした妻からの婚姻費用分担請求について、「権利の濫用」として認めなかった家庭裁判所の審判例があります。

ほかにも、婚姻費用の全額免除は認められず、減額になった審判例もあります。「婚姻費用の支払い義務がある側は、相手が有責であっても生活保持義務を免れられない」との理由からです。

最近の審判例からいっても、夫婦の別居の原因によっては、婚姻費用の支払義務が全くないとなるか、一部にとどまる可能性があります。

上記のケースでも同様に、婚姻費用の支払義務が全くないとなるか、一部にとどまる可能性があるでしょう。

離婚問題のお悩みは桑原法律事務所へ

桑原法律事務所は、創業25年目の総合法律事務所です。福岡・佐賀に3拠点のオフィスを構えています。

夫婦間の問題でお悩みの方は、当事務所にご相談ください。依頼者様の思いに寄り添いながら、最適解を探し、今後の方針などについてご提案いたします。

ご依頼時には、弁護士と事務スタッフによる2名以上のチームで対応いたしますので、「弁護士は敷居が高い…」といった心配はございません。まずはお気軽にお問い合わせください。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。

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