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失業した夫(妻)から養育費や婚姻費用はもらえますか?
公開日:2020.05.12 最終更新日:2021.11.29
失業した夫(妻)から、養育費(婚姻費用)はもらえますか?
養育費や婚姻費用は、主として(元)夫婦の収入に基づいて定められます。そのため、請求する相手が失業してしまうと、収入がない以上、養育費や婚姻費用は請求できないようにも思われますが、必ずしもそうではありません。
失業中でも養育費や婚姻費用の請求が認められる可能性は高いです
まず、失業期間中であっても、失業保険を受給しているのであれば、受給している額の収入があることを前提に請求は認められる可能性が高いといえます。また、再就職していればそこでの収入を前提にすることも考えられます。
失業しても、親子や夫婦の扶助義務がなくなるわけではない
また、失業はあくまでも一時的な状況ですので、これを前提に「収入がないので養育費や婚姻費用を今後一切支払わない」あるいは「極めて低い金額しか払わない」というのは、いかにも不合理です。
そこで、審判例でも、退職理由、退職直前の収入、就職活動の具体的内容とその結果、求人状況、職歴や稼働能力等、諸般の事情を勘案して、収入額を推定するといった判断がなされています。
失業したからといって、親子や夫婦の扶助義務が全くなくなるわけではありません。生活に必要不可欠な費用は諦めずに請求することが大事でしょう。
自主退職した場合の婚姻費用
相手が自主退職した場合の婚姻費用についても、失業した場合と同様の問題が生じえます。
自主退職の理由にもよりますが、本人の意思により収入を途絶えさせていることから、失業した場合よりも従前の収入を基準とした額に近い養育費や婚姻費用の支払いが認められる可能性が高いでしょう。
例えば、養育費の支払いを免れる目的で自主退職した事例では、従前の収入をもとに養育費が算定された審判例があります。
養育費や婚姻費用の請求については弁護士にご相談ください
当事務所では、養育費や婚姻費用の請求についてのご相談も多数お受けしております。お困りの方がいらっしゃいましたら、まずは当事務所の弁護士にご相談ください。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。

【本記事の監修】
弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋(代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。