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離婚調停

離婚調停の流れ・期間 | 分かりやすく解説

公開日:2022.02.17  最終更新日:2022.09.12

この記事の目次

離婚の話し合いがまとまらない場合や話し合いができない場合には、家庭裁判所の調停手続(離婚調停)を利用することができます。離婚調停では何をして、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。夫婦の問題について累計1300件以上の相談をお受けしてきた、福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が解説します。

離婚調停の流れ

協議離婚が成立しなかった場合、いきなり裁判を起こすことは例外を除き認められていません。まず、離婚調停を経ることが原則とされています。

離婚調停では、離婚するかどうか、離婚する場合は子どもの親権者、面会交流、養育費、財産分与、年金分割の割合、慰謝料などについて家庭裁判所で話し合い、解決を目指します。

離婚調停の流れは下記のとおりです。

1.管轄の家庭裁判所に申し立てる

離婚調停は、原則として、「相手方の住所地」を管轄する家庭裁判所に申し立てます。

「住所地」とは、住民票の登録と同じとは限りません。住民票上の住所地に住んでいない場合には、居所になります。

ただし、双方が合意すれば、合意した管轄の家庭裁判所で申し立てが可能です。

申し立てに必要となる主な書類は下記のとおりです。家庭裁判所に持参するか郵送します。

  • 申立書
    申立書の例は裁判所のHP(こちら)にあります。住所や申し立てた趣旨(いきさつ)などを書きます。写し(コピー)2部も必要です。家裁は写しを相手方に送ります。
    裁判所に提出した資料の中に、事情により相手方には知られたくない内容がある人は、「非開示」を書類により申請できます。ただし、申請が認められるかどうかは裁判所の判断となり、認められたとしても相手方へ知られる可能性は残ります。また、住所についても非開示の申請はできますが、DV被害にあっている方などの事情のある方は、申立前に裁判所や弁護士に相談するとよいでしょう。
  • 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
    発行日が3か月以内のもの。
  • 年金分割のための情報通知書(年金分割についての申し立てがある場合)
    年金事務所などで「情報通知書」の請求をします。届くまでに3〜4週間ほどかかりますので事前に申請をしておくとよいでしょう。
  • 収入印紙1200円分
    郵便局やコンビニで購入することができます。
  • 連絡用の切手(予納郵券)
    金額は裁判所によって異なりますが、600円〜1,000円ほどです。

そのほか、提出が必要な書類もありますので、詳しくは管轄の裁判所へお問い合わせください。

2.「調停期日通知書」が届く

申立書が受理されてから2週間ほどで、双方に1回目の日程を知らせる「調停期日通知書」が届きます。代理人(弁護士)がいる場合は、弁護士経由で連絡があるでしょう。

調停期日は、通知書が届いてから1か月~1か月半ほど先に指定され、平日の日中(午前もしくは午後)に開かれます。どうしても期日を変更したい場合は、家庭裁判所に申し出ます。

3.第1回目の調停

調停委員会は裁判官である「家事審判官」1人と「家事調停委員(以下、調停委員)」2人で構成されます。

弁護士がついている場合でも、原則、本人も出席します。遠方などの事情があれば、電話会議などでの参加も認められています。調停は非公開で開かれます。

4.2回目以降の調停

調停の回数に決まりはありません。1か月〜1か月半に1度の頻度で開かれます。

調停の回数は、争いの有無、程度により違いますが、おおむね3〜5回程度です。争いがある場合は、終了までに数か月〜1年と時間がかかる場合もあります。

5-1. 調停が成立

裁判所から提案される調停案にお互いが合意すれば、調停が成立となります。裁判官が調停の内容について読み上げますので、しっかり内容を確認しましょう。

成立後には調停調書が作成されます。裁判所には「調停調書の正本(原本)」のほかに、離婚届を提出するために必要な「調停調書の謄本」(写し)の交付を申請することになります。

離婚届は原則、調停を申し立てた側が、調停成立から10日以内に出す義務があります。届出先は、夫妻の本籍地か申立人の住む市町村役場です。本籍地ではない市町村役場に提出する場合は、戸籍の添付が必要です。

調停離婚の場合、離婚届に相手の署名や押印は不要です。調停の成立した日が「離婚日」として戸籍に記載されます。

離婚届の提出の仕方はこちら

5-2. 調停が不成立

調停委員会が「合意の見込みなし」と判断すれば、調停は不成立となります。

その後は裁判所へ離婚裁判を提起し、解決を目指すのが一般的ですが、再度話し合い(協議)をしたり、調停を申し立てたりすることもできます。

5-3.調停の取下げ

離婚調停を申し立てた側は、いつでも取り下げることができます。調停の場合、取下げには、相手の同意は不要です。

調停を取下げた場合、離婚裁判を起こしたいというときに、もう一度調停からやり直さなければならない場合がありますので、取下げの際は注意しましょう。

離婚調停当日の流れや服装について

調停の当日は、調停委員2人が双方から交互に話を聞きます。

調停委員は、中立的な立場で解決を図る存在です。おおむね40〜70代の人で、弁護士や医師、大学教授などのほか、地域で活動する民生委員など、幅広い分野から裁判所によって選任されます。

調停に参加できるのは、原則として、当事者と弁護士のみとなります。1人で不安な場合、調停室に入るまで過ごす控室までは、当事者以外の同行も認められています。控室は、相手方と顔を合わせずに済むよう別々です。

調停がはじまると、双方が交代で調停室に入ります。申立人・相手方に20〜30分程度ずつ、交互に話を聞きます。同じ部屋で直接、顔を合わせることはありません。相手が調停室にいる間は控室で待ちます。

服装についての決まりは特にありません。スーツである必要はなく、普段着でも構いませんが、調停委員に悪い印象を持たれないよう常識的な服装を心がけるとよいでしょう。

調停の期間は「1年以内」が9割 | 成立は半数

令和2年度(2020年度)において、全国の家庭裁判所で申し立てのあった離婚調停は36,399件でした。このうち、下記の円グラフのとおり、調停が成立したのは17,478件で約半数です。

調停の話し合いでは折り合いがつかずに、調停委員会が不成立としたケースは9,318件、申立人が調停を取下げたケースは6,758件となっています。

審理期間は、婚姻関係調停すべての統計しか公表されていませんが、成立・不成立・取下げを含め、半年以内に55%が終了しています。1年以内になると87%が終了しているようです。

先に述べたように、「婚姻関係調停」のうち離婚関係が96%を占めるので、ほぼ同様の数字と考えられます。

2020年度(令和2年度)司法統計より

離婚調停についてのご相談は桑原法律事務所へ

桑原法律事務所は、創業25年目の総合法律事務所です。福岡・佐賀において、3つのオフィスを展開しています。

離婚調停はご自身でも対応可能ですが、お一人で「きちんと意見を伝えられるのか」、「相手方からの提案をのんでもいいのか」など不安な気持ちになられる方も多くいらっしゃいます。

弁護士に依頼された場合、弁護士が調停に同席しますので、依頼者様の意見を補充・代弁し、調停の待ち時間に法的な見解についてもご説明ができますので、安心して調停に臨むことができることに加え、相手方とのやり取りや裁判所に提出する書面についても、弁護士が対応いたしますので、依頼者様の精神的なご負担を減らすことができます。

また、離婚調停を弁護士に依頼することをためらう大きな理由として、「費用がかかる」ことがあると思われます。

当事務所では、まずはご相談に来ていただくことをご案内しております。

ご相談に来ていただいた場合、依頼者様のお話を聞き、ご依頼された場合に弁護士ができることや、方針についてのご提案、弁護士費用についてしっかりとご説明いたします。その場で依頼されるかどうかを決める必要はなく、相談後にじっくりご検討いただくことも可能です。

依頼者様の思いに寄り添いながら、弁護士と事務スタッフによる2人以上のチームで対応いたしますので、「弁護士は敷居が高い…」といった心配はございません。まずはお気軽にご相談ください。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。

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