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【2022最新】離婚届の書き方 | もらい方・出し方まで | 押印は不要に | 弁護士が解説

公開日:2022.03.31  最終更新日:2023.03.06

この記事の目次

婚姻届を出した結婚を解消するためには必ず「離婚届」を出します。書き漏れや誤りがあると受け付けてもらえず、手間も時間もかかります。書式は2021年、法改正により押印が不要になるなど変更されました。1回で受理される離婚届の書き方を、福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が詳しく紹介します。

離婚届の書き方

離婚届、どこでもらう:市区町村の窓口かダウンロード

離婚届は全国共通です。どこの市区役所、町村役場でもらった用紙でも大丈夫です。総合窓口で「離婚届が欲しい」といえばすぐ渡されるか、戸籍担当課(住民課・市民課)に案内されるでしょう。

だれが取りに行ってもかまいません。提出も同じ課になります。

開庁時間に行けなければ、夜間や休日用の窓口でももらえます。書き損じに備え、2枚ほどもらうとよいでしょう。

公式ウェブサイトからダウンロードできる自治体もあります。下記は福岡市からダウンロードしました。

福岡市の見本

 

全国共通ですが「あて先」欄に「大阪市」など、すでに記入されている用紙もあります。また離婚届を提出したい市区町村が、ダウンロード版を受け付けない可能性もあります。

海外在住者が在外公館に出す用紙は、外務省のページにあります。

福岡市のダウンロードはこちら(「あて先」記載なし)
熊本市のダウンロードはこちら(同上)
大阪市のダウンロードはこちら(「あて先」が「大阪市」)
海外在住者のダウンロードはこちら(「あて先」が「大使・総領事」)

ダウンロードした離婚届、印刷の仕方

フォーマットは下記のとおりです。

  • A3サイズ(感熱紙は不可):戸籍法施行規則第59条に定められており、A4を貼りあわせるなどもNGです。
  • 白い紙
  • 印刷する色は白黒でOK

離婚届だれが書く:署名以外はだれでもOK

下記は法務省の見本です。

法務省の見本

「離婚届を書く」というと、2人がそれぞれ自分の項目を書くイメージかもしれません。

実際は、⑮⑯の署名以外はだれでも(第3者でも)OKです。

  • 協議離婚:一方が書き、片方は署名(捨て署名含む)のみでOKです。
  • 裁判離婚:調停を申し立てた側(または訴えを起こした側=原告)が原則、記入して届けます。もう一方の署名は不要です。

離婚届の訂正:二重線+署名で

筆記用具は黒のボールペンか、インクペンを使用します。鉛筆や消せるペンはNGです。

正しい表記が求められるので、できれば戸籍や住民票を見ながら書くのをお勧めします。

間違えたら二重線で消し、小さく自筆の署名を書きます。用紙の欄外(左側)に「訂正の署名」欄があり、フルネームで自筆します。

離婚届の書き方

修正ペンや修正テープでは受け付けられません。

項目ごとに書くべき内容を説明します。

①届出日:役所に提出する日

離婚届の書き方
役所に提出する日を書きます。協議離婚の場合、不備があって不受理になっても、最初に届け出た日が法律上の「離婚日」となります。離婚届は郵送もできますが、郵送する場合はポストに投かんする日です。

裁判離婚の場合、成立や確定してから10日以内に出します。
法律上の「離婚日」は調停(和解)成立日や認諾日、確定日(判決・審判)です。

②あて先:出す市区町村名

提出先の市区町村名を書きます。出せるのは夫か妻の本籍地か所在地、住所地のいずれかです。

海外の場合「在ロサンゼルス日本国総領事殿」「在タイ王国日本国大使殿」などとなります。

③氏名:届ける時点での姓名

離婚届の書き方

届け出る時点(結婚時の姓)での姓名です。

外国の名はカタカナで記入します。ミドルネームは「名」の欄に、「①ファーストネーム②ミドルネーム」の順に書きます。

生年月日は和暦(昭和、平成)が印刷されていればどちらかにマルをつけます。なければ「昭60」「H2」など省略せず、きちんと記入します。

外国籍の場合、西暦でもかまいません。

④住所:届け出る時点での住所

届け出る時点での「住民登録のある(住民票のある)」住所です。

住民票の表記通りに「丁目」「番地」「アパート名」なども省略せず、原則として都道府県から書きます。

世帯主の氏名も届出の時点で、住民票のとおりに書きます。

海外の場合は「カナダ国オンタリオ州トロント市〇〇ストリート」など、国名から日本式で記入します。

⑤本籍:婚姻中の本籍地

婚姻中の本籍地(戸籍のあるところ)です。戸籍の表記通りに記入します。

どちらかが外国籍の場合、日本人について本籍と筆頭者の氏名を書きます。外国籍の人は「夫の国籍 アメリカ合衆国」など国籍を記します。

⑥父母及び養父母の氏名:亡くなっていても記入

離婚届父母の欄

それぞれの実の父母です。父母が婚姻中であれば母の姓は不要です。すでに亡くなっていても記入します。続柄は戸籍に記載のとおりに書きます。

養父母がいれば該当の欄に姓名を書きます。

⑦離婚の種別:話し合いなら「協議離婚」

裁判手続きによらず、話し合いによる離婚なら「協議離婚」の□に✔を入れます。

裁判手続きをへた離婚(調停・審判・和解・請求の認諾・判決)は該当の□に✔を入れ、成立や確定、認諾した日を書きます。調停調書などで日付を確認しましょう。

⑧婚姻前の氏(姓)にもどる者の本籍

離婚届の書き方
婚姻により相手方の氏になった側は、離婚で婚姻する前の姓に戻ります。

「姓を変えたくない子どもと別の姓になりたくない」「諸手続きが煩雑」といった理由で、婚姻した姓を離婚後も名乗りたい場合は、何も記入しません

「離婚の際に称していた氏を称する届」を、離婚日から3か月以内に提出する必要があります。離婚届と同時に求められるケースがございますので、詳しくは提出先の市町村役場にお問い合わせください。

 

福岡市の「離婚の際に称していた氏を称する届」ダウンロード先はこちら

もとの戸籍にもどる

「もとの戸籍にもどる」とは婚姻前の氏に戻り、婚姻前の戸籍(父母など)に復籍する場合です。

もどる戸籍(婚姻前の戸籍)の本籍と筆頭者氏名を記入します。

子どもがいる場合、気をつけたいのは戸籍は「親子2代まで」というルールです。妻が親の戸籍に戻っても、子(親から見て孫)は一緒に入れません。夫の戸籍に残さざるを得なくなります。

自分は旧姓に戻っても、子どもは筆頭者である父の姓を名乗るしかありません。

子を自分の戸籍と同じにしたい場合「自分が筆頭者である新しい戸籍」が必要です。離婚時にもとの戸籍にもどると、また新しい戸籍を作るという手間がかかります。

また「もとの戸籍」にいた人が死亡や婚姻などの理由で除かれ、だれもいない「除籍」になっていると戻れません。「新しい戸籍をつくる」に✔を入れ、新しい戸籍の本籍と筆頭者である自分の氏名を記入します。

新しい戸籍をつくる

新しい戸籍をつくる場合、日本国内で「土地台帳」に記載があれば、本籍地はどこでもかまいません

戸籍に関する書類を取り寄せる手間を考えると、住所地にするケースも多いでしょう。

夫からのDV被害などで子どもと一緒に逃げ、住所を隠しておきたい場合、注意が必要です。

自治体に「支援措置」を要請していても、戸籍謄本は秘匿の対象外(住所の記載はないため)です。母子が同じ戸籍にいれば、新しい戸籍を元夫が取得できてしまいます

本籍は実際の住所とは違う地にするとよいでしょう。

⑨未成年の子の氏名:親権を記す重要項目

離婚届の書き方

重要な項目です。記入漏れがあると離婚届が受理されません。

  • 協議離婚の場合:届けを出す時点で未成年の子が夫婦にいれば、どちらか一方に親権を定めなければなりません。親権を行う側に子の氏名を書きます。

訂正する場合は夫と妻、双方の訂正署名が必要です。

  • 裁判離婚の場合:調停調書などに記載された通りに書きます。

どんな方式での離婚でも、離婚届で子の戸籍は移動しません。別の戸籍になった側に子の戸籍も移すためには、家庭裁判所で「子の氏の変更」を申し立て、家裁から「子の氏の変更許可」を取った後、役所で「入籍届」を出す必要があります。

「未成年」は2022年4月から、「18歳未満」になりました。

⑩同居の期間

離婚届の書き方同居

結婚式を挙げたか同居を始めたか、早いほうの年月を書きます。生年月日と同様、「H」「平」などと省略せず、「平成」「令和」と書きます。

まったく同居がなかった夫婦は何も記入しません。離婚届を出す時点で別居していない場合「同居を始めたとき」だけ記入します。

⑪別居する前の住所

すでに別居している場合、最後に同居していた住所を書きます。別居していない場合は空欄のままです。海外の場合は国名から日本式に書きます。

⑫別居する前の世帯の主な仕事

別居する前の仕事

1~6のいずれかに✔を入れます。

⑬夫妻の職業

国勢調査のある年度(2025年4月1日~2026年3月31日)に届け出る場合のみ記入します。

⑭その他:特記事項あれば

特記すべき事情がある場合に書きます。例えば下記のような例です。

  • 外国の法律で離婚した
  • 裁判離婚で届出人ではない側が、新しい戸籍をつくりたい

⑮届出人署名:協議離婚なら双方の自筆

離婚届の署名欄

  • 協議離婚の場合:「届出人」は形式上、夫と妻になりますので、双方の自筆による署名が必要です。押印はしなくてかまいません。外国の人が外国語で署名する場合、「フリガナ」を併記します。
  • 裁判(調停・和解・判決など)離婚の場合:「届出人」は原則、離婚を申し立てた側ですので、申し立てた人の署名のみです。片方は何も記入しません。

申し立てた人が10日以内に離婚届を出さない場合は、相手側(申し立てられた側)が提出できます。

連絡先が欄外にあります。平日の昼間、連絡を受けられる電話番号を書きます。不備があった場合など、役所から照会されます。

不備が解消されない限り離婚届けは受理されませんので、ご注意ください。

⑯証人:協議離婚のみ

離婚届の証人
協議離婚のみ必要です。成年(18歳以上)であれば、親子でもかまいません。2人が自筆で署名します。外国の人が証人であれば生年月日は西暦、本籍には国籍のみを書きます。

⑰面会交流・養育費

離婚届の面会交流

  • 面会交流:未成年(18歳未満)の子がいる場合、いずれかに✔を入れます。
  • 養育費:未成年に限らず、経済的に自立していない子がいれば、いずれかに✔を入れます。

法務省の解説動画はこちら

協議離婚の届け出に必要な書類

離婚届に必要な書類

協議離婚の届け出に必要なのは、離婚届のほかに下記の書類です。

  • 本人確認の書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カ―ドなど
  • 戸籍全部事項証明書」または「戸籍謄本」(本籍地の市区町村に届ける場合は不要)

戸籍謄本や戸籍全部事項証明書には「発行から〇か月以内」といった定めはありませんが、なるべく直近のものがよいでしょう。

裁判離婚の届け出に必要な書類

離婚届に必要な書類

調停など裁判離婚の届け出に必要なのは、離婚届のほかに下記の書類です。

  • 本人確認の書類:運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、在留カ―ドなど
  • 調停・和解・認諾離婚の場合:調停(または和解や認諾)調書の謄本 1通
  • 判決・審判離婚の場合:判決(または審判)書の謄本と確定証明書 1通
  • 戸籍全部事項証明書」または「戸籍謄本」(本籍地の市区町村に届ける場合は不要)

調書や判決書の謄本(写し)は申請しないともらえません。調停などが成立した時点で裁判所に申請しましょう。

調停や裁判で離婚した後の手続き 詳しくはこちら

戸籍:記載まで数日~2週間

離婚届が受理されても戸籍にはすぐ記載されません。本籍地に出した場合で数日、それ以外だと2週間ほどかかります。新しい謄本や抄本を取得できるのは、それ以降になります。

姓が変わる場合、住民票への反映は即日から1週間ほどです。

当事務所では、離婚成立後の手続きまで丁寧に説明しますのでご安心ください。

※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。

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