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弁護士に依頼せずに離婚裁判ができるのでしょうか?メリットやデメリットは?
公開日:2021.10.16
この記事では、「弁護士に依頼せずに離婚裁判ができるのか?」や「弁護士に依頼せずに離婚裁判を行うことのメリット・デメリットを見ていきましょう。
日本では、本人訴訟、つまり、弁護士に依頼せずに当事者本人が裁判を追行することが認められています。離婚裁判を含む人事訴訟も本人訴訟が認められていることから、弁護士に依頼せずに離婚裁判をご本人が行うことは理論上は可能です。
とはいえ、現実には離婚裁判を本人が行うことには様々なハードルがあります。統計上も、離婚裁判を含む人事訴訟の98.1%で弁護士が就いています(弁護士白書2019年参照)。
離婚裁判を弁護士に依頼しないメリット
弁護士に依頼しないメリットとしては、なんといっても弁護士費用がかからないという点が挙げられます。特に収入のない主婦(夫)にとっては、弁護士費用は大きな負担となり、弁護士に依頼することの大きなハードルとなっています。
離婚裁判を弁護士に依頼しないデメリット
裁判において適切な行動がとれない可能性がある
離婚裁判を弁護士に依頼しないデメリットとしては、まず、裁判で適切な行動がとれない可能性が高いという点です。
離婚裁判を含む人事訴訟は、通常の民事訴訟と異なり、職権探知、つまり当事者ではなく裁判官が事実の探求を行うという建前があります。しかしながら、現実の離婚裁判では、裁判官が積極的に事実調査を行うことはありません。通常の民事訴訟と同様、当事者の主張する事実とその証拠の評価にとどまることがほとんどです。
そのため、離婚裁判においても、当事者による事実の主張とその証拠の提出は大変重要な意味を持ちます。しかも、離婚に関する請求(親権や慰謝料・財産分与など)を裁判官が判断するにあたっては、重要な要素となる事実というものがあります。例えば、親権を判断する際に、現在の監護状況に関する事実や、従前の養育状況に関する事実は、重要な意味を持つ要素となる一方、収入に関する事実は必ずしも重視されていません。
このように、離婚に関する各種の請求には、要点となる事実があり、これを適切に主張・立証する必要があります。これを実現するためには弁護士に依頼して、適切な事実の主張・立証を行うのが最善と言えるでしょう。
裁判に必要な書面の作成能力が求められる
また、離婚裁判は調停とは異なり、主に書面による主張が求められます。そのため、適切な主張という点では、書面の作成能力・文書能力が求められます。時代を下るにしたがい、徐々に平易な言葉遣いにはなってきていますが、それでも裁判の文書は一般生活上の文書とはやや趣を異にしており難解です。裁判官が読み、十分に理解でき、説得的な文書を作成するというのが、弁護士に依頼しない場合の大きなハードルとなるでしょう。
さらに、適切な主張・立証ができないことにより、最終的に下される判決においても、不本意な結果となる可能性があります。
その他のデメリット
そのほか、裁判は平日の日中に行われるため、これに毎回出廷しなければならなかったり、裁判の終盤に行われる尋問(承認や当事者への質問と応答の手続き)を円滑に実施できなかったり、そもそも裁判の進行について全体像が分からなかったりと、弁護士に依頼しないことのデメリットは決して無視できないかと思われます。
離婚裁判は弁護士に依頼されることをおすすめします
裁判において、大きな労力をかけて本人訴訟を行っても満足いく結果を得られるとは限らないため、離婚裁判となったら、弁護士に依頼することを強くおすすめいたします。
離婚にお悩みの方は、ぜひ、当事務所にご相談にいらしてください。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。

【本記事の監修】
弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋(代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。