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法定離婚事由とは|法的に離婚できる要件

公開日:2018.07.31  最終更新日:2022.08.08

この記事の目次

協議離婚をする際には双方の合意があれば足りるのですが、離婚につき争いがあり、最終的に訴訟での解決を目指す場合には、法定の離婚原因(民法770条第1項各号)が必要です。

離婚は、夫婦が合意をして届出をすればできますので、離婚理由が全くなくても、戸籍上他人になりたいという意思の一致が夫婦にあるならば、離婚することができます。しかし、片方だけが離婚したいと考え、相手方が離婚に断固応じないような場合には、法定の離婚事由がない限り、離婚訴訟で裁判所が離婚を命じてくれることはありません。

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法定の離婚原因:相手方と法的に離婚するための要件とは

不貞行為(1号)

不貞行為とは、「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」を言います(最判昭和48年11月15日)。簡単に言うと、性交渉を行った場合がこれにあたります。

悪意の遺棄(2号)

悪意とは、法律用語一般としての「悪意」(ある事実を知っていること)とは異なり、社会的・倫理的に非難されるべき心理状態を意味します。婚姻生活を破壊することを企図しまたは認容する状態をイメージしたらよいでしょう。

遺棄とは、正当な理由のない同居、協力、扶助義務(民法752条)、婚姻費用分担義務(民法760条)などの不履行一般を意味します。

例えば、正当な理由がないのに、同居を拒んだ(同居義務違反)とか、頻繁に家出をする、家事を全く行わない、生活費を全く入れない(協力・扶助義務違反)といった事情がある場合には、悪意の遺棄と評価される場合があります。

正当な理由がある場合、例えば仕事の都合上単身赴任をしている場合や病気で家事をしたり生活費を稼いだりできなくなった場合には、悪意の遺棄とはならないでしょう。

悪意の遺棄という概念に抽象的な要素が含まれていることから、その判断のためには具体的事情を総合的に考慮せざるを得ず、個々の夫婦によっても事情は変わってくるでしょう

仮に、悪意の遺棄と認められない場合にも、例えば別居が長期間に及んでいた場合などには、「婚姻を継続し難い重大な事由」(770条1項5号)があるとされ、離婚原因ありと認められる可能性があります。

3年以上の生死不明(3号)

生死不明とは、生存も死亡も確認できない状態をいいます。生きてはいるが住所が不明といった場合は含まれません。また、生死不明の状態が離婚請求時にも続いていることが必要です。
悪意の遺棄とは異なり、相手方配偶者の主観面は問題になりません。

強度の精神病にかかり回復の見込みがない(4号)

正常な婚姻生活の継続を期待できない程度の精神病であることが必要となります。また、回復の見込みがないかの判断のため、相当期間精神病が継続することが必要と解されています。

その他婚姻を継続し難い重大な事由(5号)

上記の1号ないし4号以外の事情で離婚を認めるものです。
いわゆる破綻主義(当事者のどちらかに責任があるという場合に限らず、婚姻関係が破綻したといえる事情があれば離婚を認めるという考え方)をとっているとされています。

民法770条第2項について

民法770条第1項各号(上述)の離婚原因がある場合でも、裁判所は、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる、とされています。

例えば、不貞行為はあったものの、不貞を許したような場合はこれにあたります。

離婚について争いがある場合には

離婚について争いがある場合には、民法770条1項の1号ないし4号にあたる事情があるかを検討し、あたらないとしても5号にあたるかを検討することになります。

あわせて、離婚原因となる事実を証明する資料(証拠)を集める必要があります。

 

どのような夫婦間トラブルが離婚原因となり得るか

それでは、具体的な夫婦間でのトラブルが、いかなる離婚原因となり得るかを検討してみましょう。

性格の不一致

性格の不一致があったからといって、直ちにいずれかの離婚原因にあたるものではありません。
もっとも、性格の不一致の程度が著しく、「婚姻を継続し難い重大な事由」とまでいえるのであれば、5号の離婚原因となり得ます。ただし、5号にあたるには、不貞行為(1号)や悪意の遺棄(2号)などに比類する事情が必要ですので、ハードルは高いでしょう。

性の不一致・セックスレス

性の不一致・セックスレスも、直ちに離婚原因といえるわけではありません。もっとも、ハードルは高いのですが、夫婦の年齢や、家庭の環境、セックスレスの期間などから、場合によっては5号の離婚原因にあたる可能性があります。

不貞行為

1号で明確に離婚原因と定められていますので、相手方配偶者の不貞行為を立証できれば、離婚は認められます。

飲酒・浪費・借金

飲酒が直ちに離婚原因になるわけではありません。飲酒がもとで、まともに会話ができない状況であったり、生活できない状況が生じていたりするのであれば、5号により離婚原因となる可能性があります。

浪費の結果、生活費を一切渡さないというのであれば、2号の悪意の遺棄にあたる可能性はありますし、そうでなくとも5号にあたる可能性があります。

借金も、目的や金額によっては、浪費と同じく離婚原因となる可能性があります。

暴力・虐待

いずれも、程度によっては2号の悪意の遺棄または5号の婚姻を継続し難い重大な事由にあたり得ます。

その他の離婚理由

いわゆるモラハラも、発言内容や継続性、モラハラを受けた側の精神的なストレスの程度によっては、5号の婚姻を継続し難い重大な事由にあたり得ます。

離婚についてのお悩みは桑原法律事務所へ

不貞や別居は、事実として明確で、離婚原因となるのか判断することが比較的容易です。

一方、性格の不一致や性的不一致、浪費や虐待、モラハラなどは、具体的事実についての評価も争われることから、立証の問題が常につきまといますし、離婚原因たり得るのかの判断も、個別具体的な事情を考慮して行われることになります。

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