離婚コラム
養育費
コロナ禍で失業…養育費が払えない|減額できる?|弁護士が解説
公開日:2020.05.12 最終更新日:2022.08.29
新型コロナウイルスの影響で失業して収入が途絶え、養育費が払えなくなった場合、減額してもらう(免除してもらう)ことはできるのでしょうか。養育費の問題に精通する福岡・佐賀の弁護士法人 桑原法律事務所の弁護士が回答します。
養育費の減額請求は可能
養育費の取り決めをすると、原則、支払い期間が満了するまで支払いを継続しなければなりません。
そもそも養育費の請求は、親族間の扶養義務(民法877条)に基づく請求と解されています。とりわけ親子間の扶養義務については、支払う側と同一水準の生活を送ることができる程度の扶養を要すると考えられています(生活保持義務)。
養育費の減額が請求できるのは、支払う側の生活水準が下がるような事情等が生じた場合です。失業は「養育費算定の前提となる事情が変わった」として、養育費の減額が認められる可能性があります。
養育費の減額は勝手にはできない
養育費を支払う側は、勝手に減額することはできません。
勝手に支払いを止めてしまうと、公正証書や調停・審判・訴訟で養育費を取り決めている場合は、受け取る側が支払う側の財産を差し押さえる(強制執行)ことが考えられます。
その場合、不払いの養育費が数十万円、数百万円とある場合は、それらをまとめて支払わなければならない可能性もありますので、注意が必要です。
また、公正証書や調停・審判・訴訟で養育費の取り決めをしていない場合でも、受け取る側が債務名義を取得するために、調停・審判・訴訟を提起する可能性があります。
債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在、範囲、債権者、債務者を表示した公の文書であり、債務名義があれば強制執行を行うことができます。
養育費の減額請求の流れ
一度決めた養育費の減額については、まずは話し合い(協議)によって減額を求めましょう。
協議がまとまらなければ、原則、家庭裁判所での調停(審判)を申し立てます。
調停においては、以下のようなことを説明・立証する必要があります。
- 従来の養育費の決定の際に基準とした事情に、顕著かつ重要な変更が生じたこと
- 1.が従前の養育費の決定の際に、予測し得なかったものであること
- 従来の養育費の額が、実情に適合せず不合理であること
コロナの影響で減額を求めるにあたっては、まずご自身の事情を整理してみるとよいかと思います。いずれにしても、お一人で悩まずに、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
養育費に関するお悩みは桑原法律事務所へ
桑原法律事務所は、創業25年目の総合法律事務所です。
養育費をはじめとした離婚問題については専門チームを設立し、豊富な知見とノウハウを蓄積しています。お一人お一人の状況にあった対応が可能です。コロナ禍での養育費の支払いなど、離婚しても続く悩みに寄り添い、解決に向けて最適解をご提案します。
ご依頼時には、弁護士と事務スタッフ2人以上のチームでサポートいたしますので、「弁護士は敷居が高い…」といった心配はございません。まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は、公開日時点の法律や情報をもとに執筆しております。
【本記事の監修】
弁護士法人桑原法律事務所 弁護士 桑原貴洋(代表/福岡オフィス所長)
- 保有資格: 弁護士・MBA(経営学修士)・税理士・家族信託専門士
- 略歴: 1998年弁護士登録。福岡県弁護士会所属。
日本弁護士連合会 理事、九州弁護士会連合会 理事、佐賀県弁護士会 会長などを歴任。