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離婚裁判(訴訟)の期間は平均14.2か月 | 財産分与があると長期化傾向

公開日:2021.05.13  最終更新日:2022.09.28

この記事の目次

離婚の話し合い(協議)がまとまらないと、家庭裁判所での調停に移り、それでも解決しない場合は裁判(訴訟)へと進みます。調停や訴訟にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。福岡・佐賀の弁護士法人・桑原法律事務所の弁護士が解説します。

 

離婚調停にかかる期間:成立の場合で平均7.6か月

離婚したい人は、夫婦間で(ときに弁護士を介して)話し合いによる交渉(離婚協議)をします。話し合いで離婚が成立しない場合は、離婚を求める側(したい人)が、家庭裁判所に調停の申し立てをします。

裁判所に調停の申立書を提出して1か月〜1か月半後に、第1回目の期日が入ります。調停は、通常は月1回のペースで開かれます。

詳しくは「離婚調停とは」

家庭裁判所では「夫婦関係調整調停(離婚)」と呼ばれる手続きになります。裁判所の統計によると、令和2年(2020年)には全国で41,037件が新たに受理されました。

(最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」より作成)

終結までにかかった期間は、調停が成立した場合で平均7.6か月、取り下げで終わった事件では平均4.3か月(いずれも令和2年)となっています。コロナ禍で裁判所の業務が縮小した影響もあるとみられます。

離婚裁判にかかる期間:平均14.2か月

調停も不成立になると、裁判(訴訟)へと進むことができます。夫婦のどちらか一方が、離婚を求める裁判を提起し、判決または和解によって離婚の成立(不成立)を目指すことができる手続きです。

第1回目の裁判期日は、訴状を提出してから1〜2か月後に開かれます。裁判においては、基本的には書面で主張や反論を繰り返します。

裁判は、およそ1か月に1回のペースで審理されます。終盤になると、証人や当事者の尋問が行われ、当事者の話が証拠として扱われます。

争う内容にもよりますが、判決までに最低でも1年程度はかかるのが一般的です。

詳しくは「離婚裁判の流れについて」

最高裁判所の統計「人事訴訟事件の概況」によると、令和2年(2020年)の離婚裁判の平均審理期間は14.2か月でした。平成23年(2011年)では11.1か月、平成28年(2016年)には12.7か月ですので、年々、長引く傾向にあります。

(最高裁判所「人事訴訟事件の概況」より作成)

なお、対席(被告側当事者が口頭弁論期日において弁論をしたもの)かつ判決に至った訴訟については、令和2年(2020年)の平均審理期間は19.1か月となっています。

離婚裁判が長引くケース1:財産分与がある

離婚裁判でも、そこで審理される内容や複雑さは様々です。

離婚の原因や養育費のみの争いであれば短期間で終わるケースもありますが、財産分与が必要なケースで、特に多数の財産があると、長引く傾向があるようです。

財産分与とは、夫婦の共有財産を清算し、夫婦が結婚してから協力して築いた財産について、分配する手続きです。離婚後でも、2年以内であれば、改めて財産分与を請求できます。

財産分与について詳しくはこちら

財産分与がある訴訟の審理期間は、平均17.7か月です。このうち判決に至るケースで平均21.4か月、和解で終わると平均17.0か月(いずれも令和2年)となっています。

財産分与がない離婚訴訟の審理期間は、平均12.1か月(令和2年)ですので、ここ数年の傾向としては、財産分与の有無によって解決まで5か月ほどの差があることになります。

(最高裁判所「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」より作成)

なお、親権争いがある訴訟の審理期間は平均14.5か月、親権争いのない訴訟は14.2か月(いずれも令和2年)ですので、財産分与ほどの期間の差はありません。

財産分与が長引く理由:資料収集などで対立

財産分与について争う訴訟は年々増えており、離婚訴訟が長期化する要因のひとつとなっています。

財産分与の争いがあると長引く要因として、最高裁の報告書は2点を挙げています。

1点目は「資料の収集をめぐって審理が難航」する点です。
財産のある側が、感情的な反発から資料の提出を拒否するケースがあります。相手方当事者は、情報の開示を繰り返し求めたり、別居(基準)時の前後における預金の無断引き出しなどの開示の範囲をめぐって両者が対立したりする場合もあります。

2点目は「争点と関連性のない周辺事情についてまで、主張の応酬が繰り返されがち」としています。

離婚裁判が長引くケース2:和解協議が決裂

裁判の進行は、まず双方が書面で主張を行います。双方の主張が出尽くしたころ、和解を検討することがあります。

和解が決裂すると、双方の当事者や関係者が裁判所で話をする「尋問期日」が設けられます。これにより数か月ほど長引くケースがみられます。

そのほか財産分与に限らず、親権の争いがある場合や慰謝料が発生する場合なども長引くケースがあります。

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